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第10章 挨拶

「はい、もしもし？新菜？」

突如母が電話にでた。

「母さん…お疲れ様…今、大丈夫？ 」

…心臓がドキドキ煩い。落ちつけ私…。何も、悪い報告でもないでしょうに。

「大丈夫だけど？何⁈ あんたが、お疲れ様なんて珍しいわね。ふふっ」

お疲れ様くらい言ってたでしょ、失礼な。
からかわれるように笑われ、用意していた言葉が上手く出てこない。

「で…？どうかしたの？」

あたしは、意を決して切り出した。

「あのさ…今日…なんだけど…。」

「あっ、お誕生日おめでとう！夜勤だったから遅くなったけど…。」

「あっ…うん。ありがと…でね…今日なんだけど…。」

「あんた幾つになるんだっけ？あっ今日ね、外に食事行くでしょ？」


…ハァ、話を聞け！
これだから、オバさんは…。


「母さん…あのね…今日なんだけど…。」

「もう、ナニ？早く言いなさいよ。」

「だから最後まで聞いてよ！このせっかちオバさんめ ‼︎ 」

緊張して言葉が上手く選べない割に、母への悪態はスラスラと言えるから不思議だ。