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第10章 挨拶

「まぁ、あの件で一番謝らなければいけないのは…俺だよな。
優花の事を愛してるからって、餓鬼のクセに後先考えないで。
愛してるからこその責任を、取り違えて…。
ホント…馬鹿だ。」


翔平は祈るように目を伏せ、握り拳を胸に当て俯いた。


「 隆盛が、教えてくれなかったら、俺たちどうなってたか…心から感謝してる。俺たちの恩人だ。
まぁ、そのせいで新菜は勘違いしたんだよな…とんだとばっちりだな。すまなかった。

お前に逃げられた後の、隆盛の荒れようったらなかったぜ。
新菜…隆盛と幸せになれ。
あの頃と違って、もう責任のとれる大人なんだから遠慮はいらないし…バンバン励め。」

翔平は、ニヤリと笑い隆盛の肩をバンバン叩いた。

隆盛は、痛そうに顔をしかめると

「 お前に言われなくっても、そのつもりだ。ってか、もう仕込んでるからすぐに子供も拝ませてやるさ。

上手くいけば、お前んちと同級生の子が出来るぜ。二人目、そろそろ仕込めよ！ 」


なんて明け透けな…。

あたしは、優花と目を合わせて苦笑した。

「 新菜んとこと、同級生の子かぁ。それもいいね。ひまちゃん、お姉ちゃんになる？」

優花が声をたてて朗らかに笑うと、ひまちゃんもきゃっきゃっと笑った。

「ひまちゃん、お姉ちゃんなるぅ！」

ひまちゃんの元気な宣言は、部屋中を笑い声で包み込んだ。




「 翔平、優花…ありがとう。
俺は、新菜を必ず幸せにする。お前たちに負けないくらいな！」


隆盛の力強い言葉に、あたしは目眩がする程幸せに包まれた。