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俺だけの女の子。
第2章 馨のファーストキスはレモンの味
「ってかさ、何で俺が童貞じゃないとやなの?モテる方じゃないのは自分でも分かってるけど。そんなにショック?」

俺はもともと声を荒げる方じゃないし、人に対して怒ることも少ないと思う。
今もそんなにきつく言ってないつもりだ。

だけど俺の言葉に馨は黙って、みるみるうちに涙を溜めた。

「ちょ、え、ど、どうした?そんなに俺の言い方きつかった?」

考えてみれば馨が言い方がきついくらいで泣いたことなんかないんだけど。
映画以来見たことのなかった馨の涙に俺は慌ててしまっていた。

「航のくせに……航のくせに……航のくせに!」

こぼれ落ちる涙。
悪いことはしてないはずなのに、罪悪感が半端ない。

「何だかよくわかんないけどごめんな。俺も男だしさ、やっぱセックスとかってしてみたくて。ほら、クラスの奴らも一緒だったし、断れる雰囲気じゃなかったっつうか……」

子どもをあやすように馨の頭を撫でた。
ガキ扱いすんなと怒られるかと思ったけど、意外にも素直に撫でられている。

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