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俺だけの女の子。
第9章 馨の兄貴
海斗兄に座るように促され、ソファーに座った。
三人の大人の男を前にして座るのは何だか面接みたいで緊張する。

「えっと……航くんだっけ?」
「あ、はい」

海斗兄の横、三人兄弟の真ん中に座る優しげな人が俺の名前を呼んだ。
会ったことはないけれど、この人は母親似なのかもしれない。
そう思ってしまうくらい中性的な雰囲気がある。

「ホントに馨でいいの?あの子やっと最近オシャレに目覚めてきたけど、中身も外見と同じくらいがさつだし、料理できないし、じゃあ何ができるのかって聞かれたら返答に困るんだけど。とにかく女の子としての要素ゼロだよ?」

いや、まあ。もちろんこの一年半の付き合いで大体は知ってたんだけど、身内にここまで言われるのもちょっと悲しいものがあるな。
それとも俺に諦めさせようとしてるとか?

「陸兄……言い過ぎじゃねえ?」
「や、だって本当のことだし」

コントにも思えるそのやり取りに笑いをこらえていると、左端に座る男の人が口を開いた。
黒のスーツを着こなす大人の男の人だ。
見た目からして一番上の兄貴なんだろう。

「事情はいろいろあるみたいだけど、俺たちは航くんを認めるとか認めないとかそんな話をしにきたんじゃないんだ。確かに馨を可愛さあまり男の子のように育ててきた節はある。だけどそれも小学生に入る頃までだったんだ。その後は俺たちも馨を女の子っぽくさせたかったんだけど……」

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