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俺だけの女の子。
第10章 馨の高梨誘惑作戦
気まずい雰囲気の中、澤田がメイク道具を片付ける音だけが教室に響く。

……馨、早く帰ってきてくんねえかな。

元々山田とは仲がいいグループの一人で、話すことに困った覚えはないのに、馨のことがあってからギクシャクしっぱなしだ。

「ちょっと馨迎えに行ってくるわ」

重い空気に耐えられず俺がそう言って席を立つと。

「んじゃ、俺も行く」

山田も立ち上がった。

……ってか山田も立ったら意味ないんだけど。

そう思いながら教室を出た時だった。

「やっ、あの、その……っ」
「君、図書館の時の子だろう?僕のこと好きなんだよね?」

女子トイレの前で高梨と馨が何だかもめてるのが目に入った。

「僕、彼女いるけど、君さえ良かったら別れるよ?あ、僕、家柄重視だけど、君みたいに可愛い子だったらお母様を説得してもいいし」

今どき家柄重視って……
しかもそれを堂々と言ってのけるのには感服するわ。

「……な、あれが高梨?」
「そ。馨の想い人」
「……何かの間違いじゃねえ?」

そう思うのも無理はない。
話してる内容も正義感が強い馨の好みとはかけ離れてるし、言ってることゲスいし。
俺も間違いであって欲しいって思ってる。



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