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俺だけの女の子。
第10章 馨の高梨誘惑作戦
「ひぎゃああああっ!」

高梨の絶叫が廊下中に響き渡る。
何が行われたのかは想像にお任せするとして、ボロボロになった高梨は廊下の隅に転がった。

「あ、そうだ。さっきのセリフ、ちゃんとボイスレコーダーに録音しといたからな」

馨はレコーダーをポケットの中から取り出すと、再生ボタンを押した。

『彼女と別れてもいい』

その部分を含む全編がバッチリおさめられている。

高梨はもう何かを言う気力も残っていないのか、何も言わずに南高の生徒会の奴らに連れられて去っていってしまった。

「そのレコーダーどうすんの?」
「ん?高梨の彼女に届けようかと思って。だってさ、あいつの正体知らないままとかかわいそうじゃねえ?」

……本当にそれだけが理由なんだろうか。

「高梨と彼女を別れさせたい、とかじゃなくて?」
「はあ?あたしもそこまで鬼じゃねえよ!高梨のことは嫌いだけど、さすがにそこまで思わねえし!」

……ん?嫌い?
馨、今、高梨のこと嫌いって言った?

「やっぱりなあ、そうじゃないかと思ってたんだよ」

山田が俺の後ろから声を出す。

「なあ、馨が昔から好きだった人って誰?前に航に話してた奴の名前覚えてる?」

山田は俺が聞きにくいことをズバズバ馨に聞いていた。
その神経の図太さは少しは見習ってもいいかもしれない。



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