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秘密の香り
第12章 秘密の痛み
駅から歩ける距離のマンションに住む私たちは
普段は電車移動ばかりの為
車を持っていない


電車で敦の実家へ向かう予定だったのだか
レンタカーを借りに行こう、と急に言われ
慌てて身支度をして家を出た



敦はあれからずっと険しい表情のまま…



コンパクトカーをレンタルして
敦の実家へと向かった


車で片道2時間…



年末に挨拶に行き
泊まる予定だった実家…


それが急にこちらへ来ることに…


ずっと様子がおかしい敦…



最悪だなんて…
一体何があったんだろう


夫婦喧嘩でもしたのだろうか…



「車なんて久々だね…」


やっと敦が口を開いた



「うん、そうだね…」


圭吾さんの車が浮かぶ…




躊躇わずに嘘の言葉を話す自分に
何の違和感も感じなかった



窓の外を眺めながら
圭吾さんと行った温泉旅館を思い出していた



あれが…年内最後の秘密の時間…



次会うときは
あの練り香水を
つけていく…


敦が留守の時間にこっそり
陶器の容器の蓋を開けて
秘密の香りを纏い
圭吾さんを想う…



クリスマスプレゼント…


とても遅いけど
年が明けたら渡そう…


何がいいだろう…


ぼんやりとそんなことを考えていた





「桃香…」




敦の声で一気に現実に戻った…。



















































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