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秘密の香り
第14章 秘密の空間
本当は甘いものが食べたい訳じゃない…
でも…少しでも外に出てひとりになれるのなら…
圭吾さんの声を聞けるかもしれない…と思ったから

自転車で片道10分のスーパーへ着き
敦の好きなカップラーメンと自分用のティラミスを買う

買い物をすぐに済ませ
スーパーの出入り口を出たところで
携帯をバックから出し圭吾さんへ電話をかけた

呼び出し音が聞こえるとドキドキした…
出てほしい…うまく話せないかもしれない…
でも…どうしても声が聞きたい…

お願い出て…

呼び出し音は鳴り続け
やがて留守番電話になった

なんてメッセージを残したらいいか分からず電話を切る…

涙が頬を伝う

こんなことくらいで泣くなんてバカみたい…
聞きたくてたまらなかった温かい声が聞けなかった
ただそれだけなのに…ただそれだけで…
とてつもなく寂しくなった

桃香ちゃんって優しく呼んでくれる声
頭を撫でたり手を握ってくれるときの熱い手
抱き合っているときに私をうっとりさせるあの香り
私を見つめる柔らかな眼差し

会いたくてたまらない気持ちを抑え
頬を伝う涙を拭った

帰らなきゃ…

携帯をバックへしまい自転車を漕ぎ始めた
電話が来たら気付けるようにマナーモードを解除し
音量を最大にしたが電話は鳴らなかった

マンションに着き自転車を降りてから…
家に入る直前の玄関前で…何度も携帯を確認したが
着信もメールもなかった

携帯をマナーモードにして玄関のドアを開けた

敦は出掛ける前と同じ体勢で携帯のゲームに夢中になっている

些細なことかもしれない…
でも私にとってはやっぱり重要なこと…

携帯ばかりいじらないでほしい…

目を見て話がしたい
食卓を囲みながら笑い合いたい
気持ちが通じ合っていると感じたい…

崩れ落ちそうな自分を奮い立たせ
笑顔で「ただいま」と声をかけた。
























































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