この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
仔猫と狼
第16章 こぼれ落ちる

タクシー会社に電話をかけ終わって待っているとすぐに片岡が戻ってきた。
顔を洗って戻って来た片岡の顔は心なしか先ほどよりいいように見えた。
「保険証はきちんと持ったか?」
「はい。」
「ここの近くで婦人科のある一番大きな病院に行こうと思うが、いいか?」
そう聞くと、困ったような顔をする。
「嫌か?」
「あの…、ここの近くの病院って遠山東病院…ですよね…?」
「ああ。」
「えっと…、その…。」
なかなか嫌な理由を話さない片岡。
ああ…!
「お前の両親は病院勤めか…。」
「…。」
「そこの病院で働いてるのか?」
「…はい。」
すこし間を空けて片岡は頷いた。
そりゃ、親には知られたくないよな…。
でも、レイプまがいのことをしてしまった以上、片岡の両親には謝罪しなくてはいけないだろう…。

