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仔猫と狼
第16章 こぼれ落ちる

困らせてしまった。
私の両親がいるからって、遠山東病院に行きたくないなんて言わなきゃよかったかな…。
いや、でもあの病院にいってしまったら今回のことがばれて…鳥居さんに迷惑が…。
いや、私が両親を説得すればうまく隠すことができるよね…。
「いえ、鳥居さん…。遠山東病院にしましょう。」
「え?」
「母に電話して、このことをこっそり処理してもらえますので。」
そう言うと鳥居さんはすごく申し訳ない顔をした。
なにか、私は間違えてしまっただろうか…。
「わかった、片岡がそう言うのならそうしようか。」
そういうと、鳥居さんは玄関を開けた。
私も慌てて靴を履き、鳥居さんの後を追おうと一歩踏み出すと下半身の気だるさでこけそうになってしまった。
「あ!」
「大丈夫か?」
倒れそうになった私を鳥居さんは優しく抱きとめてくれた。
でも、私に触れたその手はすこしこわばっていた。

