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仔猫と狼
第16章 こぼれ落ちる

鳥居さんが私の両親に謝ると言い出した。
鳥居さんが謝ることなんて何一つないのに…。
なぜ?
私は、また何か失敗してしまったのだろうか。
私の両親にあって、何を言われてしまうのだろうか…。
お嬢さんには才能がありませんでしたって言われて追い出されてしまうの?
迷惑だなんて言われてしまうのだろうか…。
どんどん暗い思考になっていく。
「そろそろタクシーも来るだろうし、行こうか。」
「そう…、ですね。」
それ以外に声を発するのが怖くて、鍵を持ち外へでた。
そんな私の後に何も言わず外へ一緒に出てくれた。
鍵を閉め階段を降りると、すでにタクシーが止まっていた。
運転手は私たちに気がつくと扉を開けてくれた。
乗り込んだ私たちを確認し、扉が閉まると鳥居さんが行き先を伝えた。
運転手は、私たちのなんとも言えない空気感に声をかけることはしないでくれた。

