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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第2章 秘めた想い
殺す...残酷に...悲惨に...殺してやる...
指を折り...爪を剥ぎ...目玉を抉り...腹を引き裂き...腸を引き摺り出し...臓物を潰して...
俺は立ち上がろうと足に力を込めようとした。
『優真には誰よりも優しい人になって欲しいの』
ピクッ...と足が止まる。
まるで母に宥められたように...あの時のような茜色の夕日が俺の視界に映った。
「何をしているの?」
三人組の向こうから女性の声が聞こえ、三人組は振り返り、俺もその声の方向に視線を送ると、愛華が立っていた。
「あっ、秋月さん!?」
「いや...えっと...ちょっと遊んでただけだから!!」
「もう帰ろうぜ...?」
三人組は慌てて苦しい言い訳をすると、一目散に走り出した。
愛華はその整った容姿から学校でも人気が有り、大抵の男子は愛華の機嫌を取る事に必死になっている。
愛華の前で俺に暴力を振るう事等できないのだろう。
三人組が帰った後、愛華は俺に駆け寄り、屈んでから俺を心配するような瞳で見詰めた。