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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第2章 秘めた想い
「だっ、大丈夫!?優真君...」
愛華は俺の頬についた砂を、自分の綺麗なハンカチで拭き取りながら言った。
先程の三人組の言い訳等真に受けるはずもない。
「うん...大丈夫だよ...」
愛華の顔を見れずに俯いてしまう。
数秒前まで俺を支配していた危険な熱とは異なる熱が胸の内に込み上げてきた。
それは身を引き裂きそうな...強烈な羞恥心...
こんな...何もできない...惨めな姿を見られてしまった。
愛華にだけは...見られたくない姿だったのに...
「ごめんね...私...あんな止め方しかできなくて...」
辞めてくれ...愛華に守られる事しかできない...情けない自分の姿を実感してしまうんだ...
「いや...えっと...助かったよ...でも、俺に構ってたら愛華だって面倒な事に巻き込まれるかもしれないから...」
「ううん、私がしたくてしてる事だから...優真君、自分が大変なのに私の心配ばっかりしてちゃ駄目だよ?」
愛華の眩しい笑顔...癒されるような滑らかな声...ほんのりと香る匂い...それらを意識してしまうと、いつもまともに話せなくなってしまう...
そう...俺は愛華が...好きだ...
しかし...こんな俺に...汚れてしまった俺に...愛華を好きになる資格があるのだろうか...