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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第3章 蝕み
「お帰りなさいませ...えっ!?お坊ちゃん!?」
愛華と別れ、帰宅した俺を出迎えた麻耶は、払っても砂の痕跡が残る俺の制服を見て驚嘆の声を上げた。
「ちょっと転んだだけだよ...」
こんなありきたりな言い訳を使う日が来るとは...麻耶を避わして自分の部屋に直行しようとするが、麻耶は俺の前に立ち塞がった。
「何かあったんですか...?」
「別に...何も...」
「...そう...ですか...何かあったら...いつでも私に話してくださいね?」
「うん...悪いけど...後でクリーニングに出しといて」
「かしこまりました。夕飯も用意致しますので...あの...今日も...?」
「...自分の部屋で食べるよ...」
今度こそ麻耶を横切り、自分の部屋に向かう。
麻耶は過保護というか...俺に良く構ってくる人で、俺の方が押されてしまう。
しかし先程も、何か言いたそうにしていたが言葉を飲み込んでくれた。
麻耶は27歳でまだ若いが、和雄の愛人ではなく...麻耶を母親代わりだと思う方が自然な気がする。