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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第3章 蝕み
入浴と夕食を済ませた俺は、机に向かいひたすら勉強していた。
俺の志望校の偏差値は高めで、なんとしても合格しなければならない。
和雄はもう俺に息子として接してはいないが、世間体は多少気になるらしく、志望校のほとんどは強制されてしまった。
その中で俺が選んだ志望校は...唯一全寮制の高校。こんな家から...早く出て行きたい。
「お坊ちゃん、食器を下げに参りました」
ノックの後にドアを開けた麻耶に軽く頷くと、麻耶は手際良く食器をまとめ、再びドアを開ける。
「食器を片付けしだい、今日は上がらせて頂きますので、お坊ちゃんもあまり無理をなさらないでくださいね?」
「わかったよ、あの...麗奈(レナ)さんは...?」
麗奈というのは...この家に住んでいる和雄の愛人だ。普段は何をしているのか全くわからないが、だいたい夕食が終わる頃辺りに帰宅する時もあれば、数日帰って来ない場合もある。
麻耶はその名を聞くと申し訳なさそうに答える。
「麗奈様は...現在...リビングで晩酌中ですが...」
「....そう...ありがとう。お疲れ様...」
あの女が...家にいる...
麻耶はまるで謝罪をするように深々と頭を下げ、部屋を後にした。
俺は全身の寒気を払い除けるように...無理矢理勉強に打ち込んだ。