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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第7章 決別
高校を卒業する前に起きた転機...それは父である和雄の死だ。
皮肉にも母と同じ病に侵された和雄は、自分の財閥の後取りに、見舞いにも数回しか行かなかった俺を選んだのだ。
父の遺書により人生の大きな分岐点に立たされた俺は、やむを得ず和雄の遺言に従い、一瞬にして膨大な金と権力を得る事になった。
勿論、未成年の俺がいきなり世界有数の財閥をまとめる事は無理が有り、代役として信頼できる人物に表向きでトップに立たせ、俺は影で経済を学びながら際限無く巨大化する財閥の実質的支配者となっていた。
俺が部下達に陰口を叩かれている事は知っている。自分より一回りも二回りも年下に従う事に抵抗があるのは当然だろう。
それでも、経済だけではなく心理学もひたすら学び...契約面を有利にこなすようになってからは、かなりこの財閥を機能させる事ができた。
それから4年も経ち、もう表向きでも俺がトップに居座る事を納得する声も出てきたが、あまり面倒なかかわり合いを持ちたくはない俺は、今のまま...実質的な権威を振るう裏方を選んだのだ。
そうして...俺はすっかり知る人ぞ知る「裏の顔」になっていた。
先程の女は...俺の財閥から支援を貰おうとした企業から交渉の材料にされた哀れな女だ。
どんなに断っても押し付けてくるので、お情けでホテルに入ったのだが...結局は俺の肉棒を反応させる事はできなかったのだ。