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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第7章 決別
俺は何を捨てて...何を得たのだろう...
もし...今の俺なら...愛華を...
「...くだらない...」
不意に浮かんだ疑問を鼻で笑い飛ばし、ホテルから出て家路に着いた。
俺が住む高級マンションにたどり着いた時...マンションの入り口に不審な人影が見える。
ドクン...と心臓が疼いた。
全身に悪寒が走り...心臓を掴まれたような息苦しさを感じる。
もう忘れてしまったと自分に言い聞かせてきた一人の女...今俺の存在に気付いてこちらに向かって来るのは...麗奈だった...
「優真君久しぶりー!!へぇ...もうすっかり大人だねぇ。最初全然わからなかったよー」
父が死んでからは一度もあの家に帰っていないので、麗奈や麻耶がどうなってしまったのかは知らない...いや、考えないようにしてきた。
もう三十前後であろう麗奈は相変わらず...俺に壮絶な不快感を与える...
「...何しに来たの...?」
俺の口から...昔に戻ってしまったかのように情けない声が漏れた。