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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第2章 秘めた想い

「行ってらっしゃいませ、お坊っちゃん」

整った容姿に穏やかな笑みで俺に言った使用人である飯塚 麻耶(イイヅカ マヤ)に軽く会釈をしてから、豪邸の正門前の高級車に乗り込む。
名前は覚えていない運転手が車を走らせ、ぼんやりと窓の風景に視線を送る。
俺、早乙女 優真(サオトメ ユウマ)は今日も15歳の中学三年生として学校に登校しなければならない。

「ここで...」

俺の呟きに答えた運転手が車を停める。
こんな高級車で学校の前まで行くのは色々と面倒な事を起こしやすい。いつものように学校から少し離れた場所で徒歩に切り替えた。

「おはよう。優真君」

学校に到着し、下駄箱でシューズを履いている俺に挨拶をしたのは、俺が麻耶の他に唯一気を許せる相手である秋月 愛華(アキツキ アイカ)。
艶のある肩まで伸びた黒髪に、少し低い背丈、穏やかな瞳からは俺が今まで見た人間で一番清楚な印象だ。

「うん、おはよう。愛華」

俺はこの学校で唯一挨拶をする相手に返事をする。
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