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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第2章 秘めた想い
愛華とは幼なじみ...というのとは少し違う。
俺の父和雄(カズオ)は世界有数の財閥のトップで、愛華の父はその財閥の参加にある会社の社長だ。
昔から二人の父を通して面識があり、そんな面倒な関係の中で俺を和雄の息子ではなく優真として接してくれるのは愛華だけ...
廊下を歩きながら他愛のない会話をした愛華とは別のクラスなので、途中で別れてから教室へ向かう。
たぶん...俺が今日学校に来たメリットはもう無いのだろう...
ガラガラ...俺が教室のドアを開けると、一斉に教室が静まり返る...
その不穏な空気に自嘲の笑みを浮かべて自分の席に座ると、机の落書きに目を落とす。
落書きの内容は大まか【死ね】【犯罪者】【自殺しろ】今時こんな時代錯誤の嫌がらせをするヤツはよっぽど暇だと思う。
すっかり慣れた俺は、ウエットティッシュを取り出して落書きを拭く。
これを書いているヤツらは油性で書いてはっきりと証拠が残る事まではする度胸が無いらしく、いつも水性で落書きをしているのだ。
俺がこんな目に合っているのは、和雄の息子だという事から教師の俺への対応が少しだけ甘いという些細な物や...
父が権力を得る為に行った様々な汚い手口の影響だ。