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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第8章 止まらない衝動
思えば前回はこの女の顔等まともに見てはいなかった。
煙草に火を着け、煙を吐きながら爪先で女の顎を上げさせる。
その体全体を見渡せば様々な情報が得られる...俺に足で扱われている事への不快感がほんの僅か...感情の多くは緊張感と...緊張で震えそうな体を抑え込む覚悟が瞳から伺える。
そうか...この女にも事情があってこのような行為をするのか...
それも強制されているのではない...自分で望んでここに来たんだろう。
おそらく会社に何か弱みでも握られて...いや、報酬か...それもどうしても得なければならないような...
寝る間も惜しんで学んだ心理学が以外な場面で発揮され、女に理由を訪ねてみる。
「接待の相手になぜお前が選ばれたんだ?」
女は瞳を泳がせる。以外な質問への驚きと、どのように答えるのが正解なのか迷っているのだろう。
「正直に答えろ。別にお前の答えによって俺の気が変わるわけではない。交渉が成立すれば何か報酬が有るんだろう?」
全身が強張る...図星か...
女は少しだけ迷う仕草を見せるが、観念して口を開いた。