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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第8章 止まらない衝動
「...交渉が成立すれば...私に臨時報酬が出ます...」
「その報酬の使い道は?随分大きな目的でもあるように見えるが...」
また図星だろう。しっかりと見据えればこうも容易く心理を把握できる。
女は目に涙を浮かべ...答える。
「い、妹が...病気なんです...直ぐにでも、まとまった金額が必要で...」
その回答に思わず嘲笑的な笑みを浮かべてしまう。
なんだ...そんなくだらない理由か...身を削って得た報酬を自分以外の人間に使う...そのような甘い考えにはヘドが出る。
この女は辱しめ甲斐が有りそうだ。
「...気に入った...」
「あっ、ありがとうございます」
女の動揺が緩やかに治まっていく。気に入った理由を理解できずにいるが、気に入られる事はこの状況的に悪くない事だと解釈したのだろう。
だが当然俺はこの女の自己犠牲の精神に感銘を覚えたのでは無い。
「お前が俺の機嫌を損ねずに従えれば...交渉成立だ」
女の瞳に映る細やかな喜び...
「はい、精一杯御奉仕致します」
いつその瞳から光が消えるのか...楽しみだ。