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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第9章 危険な思考
人間というのは本当に脆い...
弱点を少し責めれば簡単に壊れていく。
その弱点というのは肉体ではなく精神...特に他者に向けての好意的な感情を揺さぶればこうも脆くなってしまうのだ。
「もう許して...美紅(ミク)には手を出さないでください...」
俺の足元で両手両足を拘束され、泣きながら懇願しているのは姉の美樹(ミキ)だ。
美樹は妹を救う為に俺に体を売った女...もっとも、当時は名前に興味は無く最近名前を知ったのだが...
例のホテルで美樹が俺に弄ばれてから二年の月日が流れていた。
その間の俺は数ヶ月毎に企業の交渉によって差し出される女を抱き、尊厳を奪い...時には命さえ奪った。
その行為は俺に何にも変えがたい快感を与え続け、俺はもう数ヶ月毎の行為では満足できなくなっていたのだ。
そしてふと二年前...麗奈の命を奪ってから初めて抱いた美樹の存在を思い出し、身辺を調査してみた。
その結果、妹の美紅の手術が無事に成功した事...美紅がすっかり日常生活を取り戻しつつある事を知り、過去に恩を売った様々な裏社会の住民の手を使い...今日この姉妹を拐ってきた。