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私達が人間を辞めた日【外伝】 寿~孤独な支配者~
第9章 危険な思考
「辞めて....辞めてください!!私が...私が代わりますから!!」
抵抗ができなくなると今度は懇願か...
代わる?冗談じゃない...痛みや苦しみは自分の物でしかないんだ。
自分だけが苦しいし、自分だけが痛い...誰かに代わって貰う事はできない。
自分がなんとかできないなら、誰も助けてはくれないんだ。
「ほら...もう直ぐだ...もう直ぐ...コイツは死ぬ...」
「嫌あああーーー!!!美紅ーーーー!!!」
美紅の苦しみが...恐怖が...絶望が...首の肉の律動を通して俺に伝わる。
その感触と美樹の悲鳴を感じると、自分でもわかるくらいの笑みが浮かぶ...
「ウウッ...」
もう美紅の生命活動は微かな吐息でしか感じられず、顔は鬱血するように青ざめていく。
さあ...見せろ...俺が肉体から切り離す命を...
そして自分の無力さで...大切な人が死ぬ瞬間を見るんだ!!
「....ぅ....ッ......」
美紅の鼓動が...震えが...吐息が...停止した。
「嫌あああああああぁぁーーー!!!!」
首から手を離すと、美紅は微塵も生命を感じさせない動きで美樹の方向に顔を倒した。
ほら...体を張っても...人を救う事はできないんだ...