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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
すると彼は――。
切ないような嬉しいようなそんな表情を浮かべて、なにか口を開きかけたが、苦しげにぎゅっと目を細めると一度唇を噛んでから言った。
「……気のせいだ。俺とあんたは、今ここで初めて」
「だったらなんであたしの名前を知っていたの? ねぇ、あなたは誰なの?」
「俺は……」
まただ。
またその瞳に、懇願するような切ない光が宿る。
「俺は……っ」
しかし出て来ない彼の正体。
焦らされたあたしは、ずばり訊いてしまった。
「あなたは、あたしを待つと言った……王子様なの?」
「――っ」
激しい動揺の色が彼の顔に浮かぶ。
「違う……。それは俺じゃない。それは……」
「「「「「「サクラ!!」」」」」
ナツ達の怒ったような声に、サクラははっと我に返ったようで。
「しーちゃん……」
ハナタレナツがサクラから下りると、あたしの指をぎゅっと握った。
「しーちゃんは、僕ではない……王子様を待ってるの……?」
それはいつものおどおどとした様子はなく。
「しーちゃんは、僕をお嫁さんにしてくれないの?」
子供らしからぬ、言わば"男"の顔。
だからあたしは、怯んでしまった。
まっすぐすぎるその瞳に、滾る熱を見たから。