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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
「……サクラみたいに、大きくなればいいの? そうすれば、僕を選んでくれるの?」
それは熱情。
そして……、
「しーちゃんを、誰にも渡したくない……」
嫉妬。
「僕大きくなる。大きくなるから僕を……」
戦慄するほどの強さを感じて思わずあたしがぶるりと身震いした時、
「「「「「「いいよ、大人になろう。それでしーちゃんに好きと言って貰える王子様になれるのなら」」」」」
6人のナツからも同様な熱を感じた。
そして7人揃って一列になると、サクラに言った。
「「「「「「「しーちゃんは渡さないよ。しーちゃんに好きと言って貰えるのは、僕だけだ」」」」」」」
気のせいだろうか。
こんなに小さなナツ達なのに、艶気漂うような大人の男の姿を見た気がしたのは。
ぞくりとしたものを感じるあたしの思考は止まってしまった。
そして最後に覚えているのは、去り際のサクラの耳打ちの声――。
「なにかあれば、これを」
こっそりと手渡されたのは櫛。
「ナツが大人になったら、気をつけろ」
そして耳に残されたのは、不穏な言葉と、
「あんたが助けを求めるのなら。俺は必ずかけつけるから」
心強い言葉。
「森から出ようとするな。それだけは守れ」
彼は森に出入り出来ても、あたしを連れ出そうとはしないらしい。
そこに疑問を覚えながらも、あたしは手の中にある小さな櫛を握った。