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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
「で、一体なんの順序を決めてたの?」
「「「「「「明日から、大人になる順番!!」」」」」」
「順番……(ぼそっ)」
「あ、あらそう。が、がんばってね」
計算では式を控えた1週間で彼らは大人になる。
しかもあみだくじ通り順々に。
ナツ達は嬉しそうにおおはしゃぎ。
あたしは他人事のように引き攣って笑うしかなかった。
そしてその夜、重労働がなかったあたしのベッドに、はにかみながら小さな枕と一緒に訪れたのは青ナツひとり。
「しーちゃんと、おねんねしたいです…ぅ」
その照れたような顔にくらりと意識を持って行かれそうになったけれど、いつもこぞって自分も自分もと押しかける6人の姿がないのが不思議に思った。
「うん、僕が1番だったから。だから今日は僕がしーちゃんとおねんね」
「だったら、明日は2番目の、ええと……」
「うん、リョクが来ると思うよ。その間は他の誰もがこないから。そういう約束なんだ」
青ナツは、ぽすんとあたしのベッドに横たわる。
「うふふ、しーちゃん…。このシーツとかこの枕カバーとかは僕が作ったんだよ。しーちゃんを思いながら、ひと針ひと針愛を込めて。しーちゃんのお嫁さんになれたらなと思いながら」
透き通るようなココア色の瞳。
「だからね、僕……嬉しいんだ。1番最初に大人になれて。大人になったら、しーちゃんに好きになって貰える。しーちゃんの王子様にして貰えるんだから」
邪気のない笑顔に、あたしの心はちくちくした。
あたしの王子様は他にいるとは言い出せない。
ましてやそれが、ナツ達のマブダチであるサクラかも知れないとは。
だからあたしは微笑み返してナツの頭を撫でるだけしかできなくて。
そんなあたしの指先が気持ちいいというように、ナツは目を閉じてあたしになされるがままになっている。
青ナツはいつもと同じだというのに、なにかしんみりしていて。
ああ、なんだか切なくなるのは、あたしが彼にやましいと思う感情を抱いているせいなのか。