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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
そしてその夜、あたしのベッドに現れたのは橙ナツ。
可愛い笑顔の面影はあるが、大人びた表情にやけに心臓が煩い。
これはあのナツなんだから……そう心に言い聞かせる。
「しーちゃん、初夜のベッドは僕と一緒に作ったベッドでね。ふふふ、大丈夫、どんなに激しくなっても、耐久性はあるから」
あ な た だ れ で す か?
「大人になるって素晴らしいね。なにかを得るためにはなにかを失わねばならないと思ってたから躊躇していたけれど、だけど失うのではないとわかれば、すごく嬉しいんだ」
橙ナツは、あたしの頬にちゅっとキスをした。
それは何度もされている親愛のキス。
だけどあまりにも橙ナツの目が真剣で、熱を帯びていたから……、あたしは思わず目を泳がせて顔をそむけた。
「可愛いしーちゃん。覚えておいてね、僕の熱。僕はずっとしーちゃんが好きだった。これからも大好き。僕は可愛いだけでは終わらせないからね」
な ん な の こ の 子。
いつも愛らしさに悶えていたけれど、この意味ありげな台詞と気怠げな口調に心臓が口から飛び出て来そうだ。
「さあ夢見ようよ。大人の僕がしーちゃんの嫁になる夢を……」
それでもやはり嫁は嫁らしい。
「おやすみ、しーちゃん。ありがとう、僕に出会ってくれて。ありがとう、優しく愛してくれて。僕はしーちゃんに会えてよかった……」
そして次の日。
青、緑に続いて橙までもがいなくなり、そしてさらに他4人のナツが成長している。
今や彼らの身長はあたしの胸あたりにまである。
「やっぱりおかしいわ。ねぇ、いなくなったナツ達はどこにいったの?」
「「「「ちょっと実家に結婚のご報告に」」」」
だから実家ってどこなのよ。
訊くと大きくなった姿でガタガタブルブル始めるから、それ以上は踏み込めない。