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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
ハナタレナツのどもりも改善されてきて、ちゃんとタイミング合わせられるようになってきていた。
温和なナツの面影を宿しながらも、ハナタレナツだけが時折、野性的な眼差しをあたしに向けてくるのがわかる。
それは窓を叩いた、あの目つきの悪い鷹のように。
その強すぎる鋭い視線が、あたしの肌を焦がしそうだった。
「どうしたの、しーちゃん」
そしてやけに触るんだ。
それはなにげない動作かもしれないけれど、ハナタレナツの指が動く度に、あたしの肌がざわめく。あたしの肌に火種を落とされる。
そして超然とした眼差しで、声がなき唇の動きでこっそりあたしに言葉を伝える。
お 楽 し み は 最 後 に ね
なにか恐い。
追いつめられた気分になるのはなぜ?
あたしはサクラがくれた櫛をこっそりポケットの中で握りしめた。
サクラが去ってから3日目の朝。
そう3日しか経っていないのに、異常成長するナツ達。
それをあたしは笑って見守っていていいのだろうか。
このままでいいのだろうか。
そんな疑問が芽生えるようになった。
その夜――。
あたしのベッドにきたのは黄ナツ。
巻き毛のようだったミルクティー色の髪は長く伸びて、乱れたかのような悩ましい表情をちらちら見せる。
ナツの顔立ちは綺麗だ。
特にとろみのついたココア色の瞳に、吸い込まれそうになる。
「しーちゃん、ようやく今度は僕の番がきた。他の奴達がしーちゃんのシーツに汗を滲ませたかと思うと、腹が立って……。毎日思いきり洗濯をして、消毒をしていた。ふふ、だけどもうこれからはそんな思いをしなくてもいい」
ナツの長くなった指先が、あたしの唇の上を撫でる。
「ああ、しーちゃんに触れたい。無知な奉仕ではなく、男としてしーちゃんに触れたい。……だけどそれはまた今度。だって僕は大人になるんだから」
上下に動く、ナツの喉仏。
僅かに下がったその声音は、艶やかな低音を響かせあたしを誘惑する。