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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
「しーちゃん……」
吸い込まれそうなほどの妖しげな空気を纏い、白ナツがあたしの寝台に横たわり、あたしを誘うように手を向ける。
悩ましい限りのナツ。
三角の帽子が似合わない。
大きい服は帰省中の青ナツが作ってくれていたらしいけれど、小さいのかボタンを閉めずにはだけさせるような着方は、乙女のあたしを翻弄させる。
「ふふふ、しーちゃん。僕にドキドキしてるの?」
後ろから抱きしめるようにして、耳もとで甘い声を送る白ナツ。
「ああ、真っ白で綺麗な肌だね。僕達が触って以来、誰にこの綺麗な肌を見せていないよね。勿論、サクラにも」
「サクラ? 当然でしょう?」
あたしの首筋にナツの頭が埋もれる。
「好きだ……」
熱い吐息と共に落とされる熱情。
「しーちゃんを早く僕のものにしたいよ」
独占欲を強めて白ナツは囁き続ける。
「ああ、今日より明日の僕は、さらに大人になっているから。だから僕を見てね。しーちゃんと一緒に、お掃除をしてぴかぴかにして喜び合っていた僕を、どうか忘れないで」
「白ナツも、実家に戻るの?」
「うん。それが決まり。そうしないと、大人になれないから。ねぇ、しーちゃん僕が好き?」
あたしを抱きしめる手が僅かに震える。
「急に大人になっていく僕を、嫌っていない?」
「驚きはするけれど、それがナツであるのなら。どんなナツでもいいわ」
それは本心。
なにか切迫感はあるけれど、それでもナツの純粋さは失われていないと思えばこそ、あたしはナツ達に警戒心までは抱かない。
抱いてはいけないと思う。
ここまであたしを好いてくれる、ナツ達に。
「しーちゃん、お歌歌って楽しかったね。皆でわいわい楽しかったね。ああ、本当に……僕はしーちゃんと会えてよかった」
「ナツ……?」
「おやすみ、しーちゃん。僕はいつでもしーちゃんの傍に居る。だから安心して、おやすみなさい」
考えないといけないことがあると思うのに、別離の言葉を響かせる白ナツの声の心地よさに、またもやあたしは眠りにつく。
「長い長い苦しみから、ようやく解放される。ありがとう、しーちゃん」