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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
「ごめん、これだけは許して。僕、ずっとずっとしーちゃんにこうしたかった。一緒にキッチンに立っていた時、ずっとしたくても我慢していた。だけど……だけど、ああ。やっぱり僕じゃ駄目なんだね」
はらはらと零れた涙。
なにが駄目なのか尋ねる前に、赤ナツは続ける。
「お願い、しーちゃん。最後のクロを愛してやってね。しーちゃんの心から愛を得られるのなら、僕達の今までは救われる。最初から大好きだったよ、しーちゃん。しーちゃんと過ごす毎日が幸せで、だけど幸せだからこそ、僕達は欲を出してしまった」
「ねぇ、なにを言っているの? ナツ?」
しかし赤ナツは泣きながら笑顔を見せ、あたしの質問に答えることはなく。
「育っているよ、皆の思いが大人の男として。僕に引き継がれ、そしてクロにも引き継がれる。だから、勇気を出したことに悔いはない」
「ナツってば!!」
赤ナツはぎゅっとあたしを抱きしめる。
「愛おしいよ、しーちゃん。昔以上にしーちゃんが。どうして君はひとりなんだろうね」
ああ、なんで?
なんでまた眠くなるの?
「おやすみ、しーちゃん。今度はクロとして、今度こそ君を愛すから。完全に大人になった姿で、君の心も体も。だけど、お願い。僕を覚えていて。僕とお料理したこと、思い出して。ね、しーちゃん……」
カーン、カーン。
微睡む世界の向こう側で、楔を落込むようなこの音はなに?
なにかを壊そうとしているの?
それともなにかの終焉を告げているの?
「さようなら、しーちゃん……」
そして迎えた、7日目の朝――。
出迎えたのは――
「やあ、おはよう」
さらに逞しく筋肉がついた白皙の身体にガウンを羽織った、黒ナツだった。
その壮絶とも言える艶気に臆して動けないあたしに、彼は艶然とした笑いを顔に浮かべ、熱の滾る眼差しをあたしに向けた。
それはハナタレ時代からよく見ている、熱視線――。
美しく変貌した彼は言う。
「――おいで。僕が君に教えてあげられなかった"お仕事"、教えてあげるから」
この視線に、飲み込まれそうだ――。