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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
ナツの目が、ナツの声が、ナツの熱が。
あたしの胎内にいるナツ自身が。
その全てであたしに告げていた。
「しーちゃんが好きだ……」
あたしは世間知らずの姫育ちだけれど、ひとの言葉が真実か否かの判断くらいは出来るつもりだ。
ナツは全身であたしに愛を訴えていた。
あたしが姫かどうかは無関係に。
ありのままのあたしを必要としてくれて。
どくんどくんと脈打つのは、ナツのモノだけではない。
あたしの胎内が、あたしを構成する細胞が、今ようやく覚醒したかのように動き出して、喜悦の熱のうねりをもたらした。
嬉しいと純粋に思った。
あたしのすべてが悦び震えだした。
今までの城生活の中で、姫という肩書きを持つあたしの外貌を褒めるひとはいれども、あたしにここまで切に愛を訴えてくるひとはいただろうか。
親ですら、あたしという存在ではなく、白雪という器を必要として或いは憎んでいただけで。他は皆、勝手に噂する白雪姫の"付属品"ばかりを利用しようとそちらの方を欲しがって。
―――姫、待っていて……必ず会いに行くから……。
あのひとに言われたような、胸の疼きが生じている。