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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
強制的に始まった僕達だったけれど、それでも彼は嬉しそうに頷いて、僕に心を開いてくれたんだ。
しーちゃんは日頃お勉強がしたくないと彼から逃げ回っていたようで、ついでに兄からも逃げ回っていたけれど、彼にとって一番なのは僕や兄だけではないことはわかっていた。
彼はいつも、しーちゃんを見ていたから。
――ねぇ、君。もしかして……?
――ナツだけに教えてあげる。実はね……。
彼は、この国において…しーちゃんの婚約者に選ばれていたらしい。
――だけどハルさんや、ナツを思ったら……。
優しい僕のお友達。
僕達はどうするのがいいのかわからなかった。
兄がしーちゃんをどれだけ好きか、いいだけ見てきたから。
兄は成長につれて美貌を際立たせた。
しーちゃんの綺麗なお母さんでも、兄を見る目が違う。とってもいやらしい。そんな妻をたしなめてくれればいいのに、しーちゃんのお父さんはしーちゃんを可愛がってばかり。おかしな家族だった。
しーちゃんが王様に懐いて抱きつけば、兄の唇が不満げににゅっと尖り、凄く不機嫌そうで。そしてイライラしながら頭を掻いて、ドガッと壁に拳を打ち付けたり、長い足で蹴り飛ばしたり。
礼儀正しくあれと教え込まれた王子らしからぬ、まるで野生に生きる荒くれ者のような仕草だ。…しかも隣国の城で。
そんなこんなで最初の出会いから何年かすぎ、僕も次第に大きくなり。そして兄としーちゃんの仲もそのままで、僕達兄弟の不毛な片想いが続いていた間、いつしかしーちゃんは"白雪姫"と呼ばれるようになっていた。
美しいしーちゃんへの称賛に名付けたのは王様らしい。
実際しーちゃんは肌が雪のように白くて、凄く綺麗なお姫様だった。可憐さと、どこか色気を滲ませるようになったその姿。
求婚者が凄く増えたという。
僕の親友も凜々しく美しい若者となり、兄はより大人の男となり。
その誰もがしーちゃんが好きで。
その誰もがしーちゃんに相応しくて。