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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
 

 好きだと言えたなら。

 僕がしーちゃんと婚姻出来たら。


 僕ではない誰かのものになってしまうという現実的な不安は、僕を必要以上に苦しめた。



 そんな時、事件が起きたんだ。

 それは宴が開かれてしーちゃんのお城に泊まった時だった。


 兄が、真夜中、しーちゃんの部屋ですごく酔っ払っていたしーちゃんの父親に斬りかかったんだ。失明させてしまった。

 兄は求婚を認めない王にいつも苛立っていた。

 だからとうとう暴挙に出たのだと誰もが噂したけれど、僕は違うと思った。兄が泣いていたから。

 決して悔し涙ですら僕にも見せない兄が、しーちゃんを見て静かに泣いていた。

 そして呟いたんだ。


――ごめんな、シズ。早くから気づいてやれてれば…。


 真相はわからない。

 だが、なぜ真夜中しーちゃんの部屋に王と兄が居たのか。

 なぜしーちゃんがはだけた寝間着姿で意識を失っていたのか。

 それに対してなぜ王妃が取り乱していないのか。


 少なくともそこが肝心だと思われる事柄はなにひとつ解明されないまま、兄は、怒り狂う王の言われるがまま、大罪人となった。


 無論、二国の国交は断絶。

 それだけではない、僕の両親が責任をとらされて処刑された。

 僕と兄は王位を剥奪され、僕達の国は隣国の王に奪われた。

 目が見えぬからと、自分の代理に大臣を王に据え、そして僕の親友が僕に代わって僕の国の王子となり、兄に代わって次期王の肩書きを戴いた。


――お待ち下さい、それは、それは!!


 城で最後に親友を見たのは、王に土下座する親友の姿。

 なにがあったのかわからないけれど、親友は僕達の国の現国王の息子なのに、王子の籍を捨てたのだということを、奇しくも再会した時に聞いた。


――ハルさんから事情は聞いている。ハルさんは動けないから、俺が代わりに動く。ナツ、俺とハルさんがなんとかしてやるからな。


 親友の友情は今でも篤い。


 "事情"――。


 しーちゃんの父の怒りは、僕達の王位剥奪だけに留まらず、本当は僕達兄弟の処刑も決まっていたんだ。


――殺すなら俺だけにしろ。ナツは、せめてナツだけは助けてくれ!!


 毎日、兄が泣いて土下座をして懇願していたという。

 それを聞いたのは、王妃からだ。

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