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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
まさかしーちゃんが来るなんて思ってもいなかった。
ずっと僕達の部屋は、狂騒だった。
しーちゃんの想いが爆発したように。
その頃からだろう、こんな日がくることを予感して、各々……逝くための道具を作り始めていたのは。
真夜中のカーンカーンという音。あれは僕達の覚悟の音だ。
僕達は、最初の予感通り、しーちゃんに男として愛し愛されることを願い、迷わず死を選んだ。死んだ者の意志は、生きた者の意志に吸収されるから、生物学的な「死」よりも、先に呪いから解放されて自由を得た、という感覚が正しいのかもしれない。
しかし自由が許されたのはあと3日。
それだけはしーちゃんには言えない。
本当は兄のもとに返そうと思っていた。
きっと鷹につけた手紙、全員が全員、しーちゃんを連れ帰ってと書いているだろう。
きっと、遠い山の向こうから兄がここまで来るのは3日。
きっと、聡い僕の親友が森に入れる方法を教えるだろう。
しーちゃん、ごめんね。
親友のサクラについていけば、森から出られるよって教えて上げればよかった。だけど優しいしーちゃんに甘えて、僕達はそれを言わなかった。
サクラに揺れたの、僕達知っている。
サクラに託せばよかったのだろうこと、僕達もわかっていた。
だけどね、残ってくれたことで、僕達はサクラにヤキモチやきながらも、心を決めた。
しーちゃんが僕達を全員愛してくれたから。
こんな醜い僕でも、嫌わずにいてくれたから。
僕達は、どうしても男と女として、もう一度しーちゃんと出会い、愛し合いたいと。
昔と変わらない、優しいしーちゃん。
僕には、6人分の僕の愛情が詰まっています。
だから想いが溢れて、心が苦しい。
しーちゃんが好きでたまらないよ。
結婚式は、僕の夢だった。
その夢に浸りたかった。
そして。
ねぇ、ハル兄――。
3日で去りゆく僕だから。
だからしーちゃんのハジメテを貰ったこと許してください。
最初で最後の僕の恋。
僕はしーちゃんが好きだった。分散しても忘れられなかった。
僕の分も、どうかしーちゃんを愛して、幸せにしてね。
僕が死ぬ直前まで、しーちゃんを愛すこと、見ないふりしてて――。