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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
 


 湯気を纏い、あたしは静かにサクラに近づく。


 目を瞑って天井を振り仰いで喘ぐサクラは、上から見下ろすあたしに気づかないようだ。


 メガネをかけていない顔は、初めて見る。

 装飾品がひとつあるかないかで随分と印象が違う。今までのつんつんとした色はなく、あたしを狼狽させた魅惑的な笑みに直結するような、綺麗過ぎる…"素"のサクラの美しさがそこにある。

 今まで以上の神秘的な美しさを魅せながらも、この淫らな表情がなんとも艶めかしく、あたしは抑えていた呼吸を荒くさせてしまう。

 身体が……熱くなる。


「あ、あぁ……俺……っ、シズル……っ、ああっ」


 上り詰めようとするサクラの手が早くなる。


 ひとりでいかせるものか――。

 思わずあたしはサクラの横に座り込み、その手の上にあたしの手を重ねて、耳もとで囁いた。


「ねぇ……、想像のあたしでいいの?」


 すると、ぴたりとサクラの手が止まり、苦しげに瞑られていた目が開き、ぎょっとしたように大きくなった。


「なっ!!」


 紅潮した顔が蒼白となる。屹立したものを隠そうと、脱ぎ捨てられていた服を身体にかけようとするが、あたしはそれを遠くに投げ捨てた。


「そこ、そうやって触れば気持ちがいいの?」

「……っ」

「ねぇ、なんであたしの名前を呼んでたの?」


 サクラは言葉が出ないようだ。

 こんな余裕のないサクラは初めて見るから、凄く狼狽える様が可愛く思え、同時にあたしの加虐心がむくむくと沸き上がる。


「あたしに触られたかったの? ……ここ」


 サクラが意地でもどけようとしない、己自身を隠しているらしいその大きな手の上から、あたしはゆっくりとサクラの手ごと動かした。


「やめろっ!!」

「どうして? 今まで、気持ちよかったんでしょう? 凄く…感じている声、出していたくせに」


 ああ、サクラが泣きそうだ。

 情欲の余韻も漂わせながらも、怯えたこの顔も中々にいい。
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