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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)


 "モモ"――。



――シズル姫、お勉強の時間です。

――どこですか、シズル姫!!



 昔、あたしに家庭教師についた、頭のいい大臣の息子がいた。

 あたしより年下のくせに、大人より頭がいいらしく、それでなくとも勉強嫌いだというあたしに、スパルタ的に教えてくる、腹立たしい男の子。

 黒髪の、メガネをかけた男の子――。

 勉強したくないあたしは、いつも彼から逃げていた。

 あの子の名前は、モモだった。

 
 そう、モモちゃんとお父様で、ここに……薔薇園に来ていたじゃない。


 あれは、サクラ、あなたよね?



――いいえ、俺は姫とは今初めて会いました。



 どうしてそんな嘘をついたの?

 どうしてあたしは思い出せずにいたの?




 髪が弄られた気がしたのは、あたしの意識が朦朧としていたからだろうか。きっとそうだ。あたしはサクラを渇望していたから、きっとまだ…自分勝手な幻想を見ているんだ。



 だからきっと、唇に感じた感触も、



「シズル……。俺は昔から……あんたが好きだった。好きでたまらなかった。

ああ……。こんな……メガネのようなガラクタで心を覆わず、ただ想いのまま素直に……、俺を求める可愛いあんたを、心ゆくまで抱けたのなら……。俺の愛をすべて、ぶつけられたのなら……」


 聞こえた苦しげな声も、幻覚――。



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