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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
あなたのお父様は、かなり昔に職を罷免されて出て行ったと聞いている。
あなたは、あたしの知らないこの城の中で、なにをして生きているの?
あたしのいない時間を、どう過ごしていたの?
これから、どう過ごすつもりなの?
白い薔薇がサクラの手で蘇った、あの場面が頭にチカチカと蘇生するのに、なんで今それが思い浮かぶのかわからない。
――…ズル姫、白薔薇が……りました。だから……って下さい。
――あなたが……なら、俺はどんなことでもします。
――約束、です。あなたが……までは、ずっとお傍にいますから。
チカチカと、嬉しそうに笑った昔のサクラが思い浮かぶ。
ねぇ、あなたと昔……、なにを約束したの?
どうすればずっと傍にいてくれる?
――シズル姫。
――シズル、シズ……ルっ!!
「モモちゃん……行かないでぇぇ」
微睡みの向こう側――。
「ここはあなたにとっては忌避すべき、朽ちた世界。
あなたの――を守るために、仕方がないんです。
昔、約束したでしょう? そのためなら俺は……」
拒否された言葉が返った気がして、あたしは哀しくて涙した。