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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
大木付近にもいない母。
周辺にて母の姿を見たという目撃情報もなかった。
戻る場所がないという事実を、どんなによい方向に考えようと思っても、行き着く結論はひとつ。
だけどそれを必死に否定しつつ、もう少したてばきっと母に会えるはずだと……、大公の家にお世話になりながら、毎日大木と、もうない家を行き来していた俺は、かつて俺に仕事をわけてくれていた…知り合いのおじさんとばったり会った。
――なんだ、ぼうず。お前…母親が囲い者になったの知らずに、探し歩いてたのか?
囲い……者?
――お前の母親着飾って、男と共に馬車に乗っていたのを見たぞ。かなりいいところの男を捕まえたんだな。お前を生むまでは町一番の娼婦だったらしいからな。今もみすぼらしい形でも、鍛えた性技で返り咲けたんだろうよ。
俺は、母親が娼婦だったことを初めて知り、そして否定しがたい事実を認めざるを得なくなってしまった。
俺は、母に捨てられたのだ――。
母の幸せには、俺は邪魔だったんだ。
――モモのお料理は上手ね。頭もいいし働き者だし、母さん、モモが誇りだわ……。
母を恨むまい。母が幸せになるのなら俺はそれでいい……。
母さん、幸せになって下さい。
今まで、どうもありがとう…。
……それが母に贈った、最後の涙となった。