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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
――シズル姫~、お戻りを。お勉強のお時間です!!
――いーだ。
これで俺より年上で。
この国王の姫だと思えば、国の将来が本当に不安になるが、
――モモちゃん、お勉強厳しくて嫌ああああ。シズル遊びたいの!!
俺だって、いくら仕事のためだとはいえ、嫌だと言われて逃げられれば傷つく。
俺だって、出来ることなら、一緒に遊んだり、おいしいおやつでも食べながら仲良く話したり、綺麗な花を一緒に眺めたりしてみたいのに。
――シズル姫、どこですか!? お父様にいいつけますよ!?
――お勉強も嫌い、意地悪なモモちゃんも嫌いっ!!
本当に野生の猿だ。木によじ登って本気でそう泣かれてしまうと、俺は密やかにメガネをとって、悲哀の涙で潤む目を擦りながら、唇を噛みしめた。
俺だって……泣かせたくないのに……。
少しでも、真面目に勉強をしてくれれば……俺だって。
そして俺をやりこめようと、あの手この手でやってくる。
――モモちゃん、今日シズル頭ががんがんするから、お勉強休む。
と、お腹をさすって仮病をして見せたり。
――モモちゃんのメガネ~もーらいっ。これが欲しければ今日のお勉強は中止!!
――きゃははははは。モモちゃん、唐辛子入りのクッキー食~べた!! 辛くて辛くてもう今日はお勉強できないわね?
……泣きたくなるほど、バカにされている俺は男として意識されていないのはわかってはいたが、だけどこの姫が愛おしい。惚れた弱みだ。どんなことをされても……俺だけが構われていることが嬉しくい、にやけてしまうんだ。
あの滑らかな白い頬に触れたい。
頬だけではなく、あの身体を抱きしめて、直に俺の身体で包み込めたら。あの香しい姫の匂いを、間近で深呼吸するように思いきり嗅ぐことができたなら――。
……そうした、欲という形にて性衝動らしきものが出始めた頃、俺は大公の計らいで、姫の婚約者となっていた。国王は少し渋っていたようで、王妃はいまだ拝顔したことはなかったが、大公が強行的に取り決めたらしいことはわかった。
幸せだった。
大好きな姫が、俺の妻になる。
想像しただけでたまらなくなってくる。
皆から愛される可愛い姫が、俺だけのものになるんだ。
俺だけが愛でる権利があるんだ。
身体が熱かった。