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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
だが――。
――そうかそうか。ナツに優しくしてくれたんだな。礼を言うぞ、メガネ。
男は、まぶしいほどの笑みを向けて来たんだ。
そのギャップに、俺は息ができなくなるほどで。
――俺様の弟は可愛いだろう。よし、お前をナツの友達にしてやろう。どうだ、嬉しいか、ナツ。
――お、お友達…っ!! 嬉しい……。
そしてナツも笑った。
その笑顔の眩しさは、兄にも通じるもので。
……俺はいつもひとりだったから。
同じ年代の"友達"がいなかったから。
そしてなにより俺は、ナツがどんなに鼻たれだろうと、垣間見せるその笑顔を見て、好意をもってしまったから。そこには、最年少入りした俺におべっかを使う奴らみたいな、取り繕った笑顔ではなかったから。
嬉しくてたまらなくて、俺も頷いて笑った。
姫にしか向けていなかった笑顔を、突如現れたこの兄弟に、惜しげ無く披露していたんだ。
……このふたりが隣国の王子だとわかったのは、名乗り合う間もない、それからすぐのこと。
そしてこのふたりの父母は同じだということにも仰天した。
野性的な面持ちで精悍な姿態をさらす、若くして王者の貫禄がついている…第一王子のハルさん。
ぼーっとした顔で鼻水をたらたらと流しながら、はちきれそうな服に身を包んだ…第二王子のナツ。
正反対の風貌の兄弟は、この城では異端だった。