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白い飛沫(しぶき)
第15章 最終章
僕は我が目を疑い、
何度も何度も手紙を読み返した。

本当に?本当に理恵なのか?



数日ためらった後、
僕はスマホを手にとって
書かれていた番号に電話してみた。


『はい、川原です』

その声だけでは
理恵ちゃん本人かどうかわからなかった。

30年という時間の流れは
当時の声の記憶を消し去っていた。

たとえ記憶があったとしても、
お互いに変声期を迎えて
わからなかっただろうが・・・

「もしもし・・・順也です」

「順也くん?・・・ほんとうに順也なの?」

「理恵ちゃんなのか?」

「理恵です。嬉しい・・・ほんとうに連絡が取れたなんて・・・」

聞けばすこし離れているものの、
同じ都内に住んでいるという。

逢いたいねという問いかけに

「いいの?逢ってもらえるの?」という弾んだ声が僕の耳に小気味良く響いた。

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