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散る華如く
第3章 郭を訪れて・・・
「アンタ・・・郭は初めてかい?」

「はい・・・」

「そんなに固くならないで、宴は楽しめばいいのさ。」

ときわは悪戯に笑って言った。

「でも、わたし・・・」

そう言って俯いてしまう。

「顔を上げて。アンタのことを聞かせておくれよ・・・」

ときわは彼女の顎を軽くとらえて持ち上げた。

「わたしのことを、ですか?」

―意外な言葉だったのだろう。

彼女は目を瞬かせた。

「そうさ・・・」

「じゃあ・・・ときわさんのことも、教えてくれませんか?」

この言葉に、今度はときわが目を瞠る番だった。

「オレの・・・?」

「はい・・・!」

そう言って大輪の華の如く微笑むしをな。

「・・・っ!!」

その笑顔に、傾城らしくもなく一瞬見入る。

だがすぐに我に返り、ときわはこう言った。

「いいよ、今宵はお喋りをして過ごそうかねぇ・・・」

「はい・・・!」

しをなはもう一度、本当に嬉しそうに笑った。
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