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花に酔う
第4章  椿 * 


「……どうやって逝くつもり……?」


未練のような感情を断ち切りたい気持ちが。
そんな問いを、口にさせる。


「そんなの……知らなくていいよ」


僕とは反対に。
覚悟を決めている彼女は……さらりと答えて。


「……だからここでお別れ、しよう?」


さっき僕が置いた距離を詰めてきて。
僕の両手をとって。
僕を見上げて。

ね……? と。


これが最後なんて。
何年も……二十何年も一緒にいた君と。
ずっと好きだった君とこれで終わりだなんて――――やっぱり耐えられない。
とても耐えられるものじゃない。


たまらず、首を振る。


困ったような顔をする君。
もっともっと困ればいい。
そうして、思いとどまってくれればいい。


「……いやだ」


反対に僕が彼女の手を取った。
繋いだ手に力を込める。


「お願い……」


彼女の言葉に、首を振る。


「もうほんと、無理なの――――。
お願い……分かって」


俯いて震える声で訴えられる、彼女の想い。



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