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花に酔う
第4章 椿 *
「……ねえ、どういうつもり?」
僕は繰り返した。
抱き締められた身体。
押し当てられた胸の膨らみ。
「そんなつもりで話したわけじゃないんだけど」
それが何を意図しているのか僕には分からなくて。
そんな言葉で彼女の行為を勘ぐった。
「……でも私にはもうこうしかできない」
胸元で呟く彼女。
「こうすることでしか……伝えられないんだもん」
「……何を」
今さらいったい僕に何を伝えようと言うのか――――。
「……感謝、してるの。すごく。
小さいときからずっとそばにいてくれたこと……彼がいなくなってからも支えてくれたこと……。
なのに私は結局それを裏切ろうとしてて……それでも最後まで一緒にいてくれるって言うから――――」
「……だから身体でお礼をって?」
けれどふるふると首を振り。
「お礼なんてつもり、ない……。
でも、ほかにどう伝えたらいいかわからないから。
すごくすごく……感謝してること、言葉でなんて伝え切れないから。
だから……もし、望んでくれるなら、私が……そうしたい。
……ただ、それだけ」