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花に酔う
第4章 椿 *
……やがて訪れた、交わりの終わり。
もう限界で。
これ以上何をどうすることもできず……力尽き、彼女の胸へと倒れ込む。
硬さを失ったものはなかに居続けることが叶わず。
どろりとしたものでそこがひどくぬめっていることだけを、虚ろな意識の中でぼんやりと感じた。
彼女の胸の鼓動。
どくどくと、確かにそれは動いていた。
しっかりとした音を刻んで。
生きているということを僕に訴える。
その左胸。
きゅっ……と掴んで。
柔らかさを、もう一度手のひらに刻んだ。
……鞄、と。
彼女が掠れた声で呟く。
ん……? と。
その表情を見ようと、僕は顔を上げた。
「中……あとで見て……」
まだ整わない息の合間に途切れ途切れにそう呟く。
こくん、と頷くと。
ほっとしたように、少し微笑んで。
……それから。
胸を掴んでいた僕の手を、取った。
もう片方の手も、そうして。
……静かに導かれた、彼女の首。
このまま――――……そう、願われた。