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花に酔う
第4章 椿 *
……そっと、手を離した。
ぴくりとも動かないその身体。
僕は彼女が……彼の元へ逝ってしまったことを、知る――――。
手を伸ばし。
瞼を静かに閉じさせ。
まだ暖かな頬を。
何度も……何度も、撫でた。
彼女の傍らで。
そんなふうにずっと、そうしていた。
落ちる雫は彼女の身体を濡らす。
そのたびに指先で拭うも、きりがなくて。
……大きく、深い息を吐きながら、彼女の服を手繰り寄せた。
その黒いワンピース。
身体に、そっと掛ける。
肌が隠れるように……丁寧に。