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花に酔う
第4章 椿 *
未だ夢の中にいるような感覚だった。
そっと立ち上がると、身体はふらつき。
くらくらとする頭を支えるようにしながら、散らばっていた自分の服を拾って。
考えずとも勝手に動く手で、それらは身につけられていく。
ワンピース以外の彼女の衣服も拾い、ひとつひとつ畳んで。
その身体の脇に置いた。
その間も。
彼女は少しも動かなかった。
「……あ」
そして思い出したのは。
彼女が呟いた、鞄……という言葉。
部屋の隅に置かれていたそれを手に取り。
開いて、見る。
……中にはあまり物が入ってなくて。
何だか異質なそれに、自然に目がいった。
白い封筒。
その中身は、多分――――そう、想像しながら取り出し。
そっと開封する。
……思った通り。
それは、彼女の遺書だった。