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花に酔う
第4章 椿 *
最愛のひとを喪った状態で生きていくのがどうしようもなくつらく、彼の元にいくことを決めたという……そういう文面の、その手紙。
宛名はなかった。
けれど恐らく家族にだろう。
僕には直接……口にしたのだから。
この手紙の存在を僕に伝えてきた意味は、すぐに理解できた。
僕の罪が少しでも軽いものになればと――――そう思ったに違いない。
僕の犯したその罪に。
嘱託……いや、承諾の名が付くことで、そうなるようにと。
死を前にしながらも、彼女は僕を思いそう考えてくれたのだろう。
優しいのか。
……残酷なのか。
僕は彼女のいろいろな面を知ってて。
それでもやっぱり好きだった。
どんな彼女も。
どうしようもなく大好きだったんだ――――。