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花に酔う
第3章 金木犀 *
「あの女の子、どうなってたっけ……」
彼は呟いて、下着姿で立ち尽くす私をそこに置いたまま、クローゼットの扉を開けてそれを取り出す。
……ネクタイだ。
「手、後ろに縛られてたよね?」
それを手にしたまま。
私に近づいてくる。
「……ほんとに縛る、の……?」
思わず呟くと。
何でもないことのように、うん、と答える。
「……そういう趣味、あったの?」
今まで全然気付かなかった。
彼がそういうの、興味あるとか。
ほんとに知らなかったから。
少し混乱して。
だからつい、言葉にしてしまって。
「え?
……そういう趣味、って?」
手の中のネクタイを見つめながら。
彼がそう聞き返してくる。
「っ、だから、その――――」
「SMのこと?」
視線を合わせられ、はっきりと口にされ。
途端に心臓がどくんとして。
それはどくどくとうるさいぐらいになって。
それでもこくん、と頷くと。
ふう、と息を吐いた彼は首を振った。