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花に酔う
第3章 金木犀 *
「……そんなのないよ」
その言葉に私はほっとした。
だって私も……そういうのに興味はなかったから。
なのに。
「僕はないけど。
――――縛られたいのかな? って思ったから」
「……っ、そんなこと私思ってないよ――――」
ぶんぶんと首を振っても。
「でも、あの縛られた女の子。
……あれ、綺麗だって言ってたでしょ?」
そう、言われて。
確かに、あれは綺麗で。
惹かれたのは事実だけど、と。
「……でもあれはあくまでも、見て綺麗だな、って思っただけで……自分がされたいなんて私は――――」
「思ってない?」
かぶせるように言われ。
こくん……と頷く。
「……そっか」
彼はそう呟き、ふうっと息を吐いた。
沈黙が訪れ、部屋に飾った金木犀の強い香りを、あらためて感じる。
まるで酔わされていくほどの甘いそれ。